赤い花

 私にはこれから死ぬ人がわかる。死ぬ人は胸に花を咲かすのだ。それが私にしか見えないと気づいたのは私の祖母の死だった。祖母の胸に蕾があってなんであるのかわからなくて母に聞いたらそんなものは存在しないと言われた。それで私にしか見えないものだとわかった。その花が咲く寸前のとき、祖母は意識朦朧としており次の日、死んだ。葬式で祖母を見たときその花は赤く染まっていた、まるで血を吸いとったかのような綺麗な赤だった。それから、私は赤が嫌いになった。

「お前なんで赤が嫌いなんだよ」
「嫌いだから」
 美術部である私の描いた絵がコンクールで賞をとった。鬼才、人とは思えないくらいの優れた才能、そう言われた。私の絵は廊下に飾られて下に学年と名前が書かれた。鬼才だの画伯だの呼ばれるようになってうんざりしているところに隣の席の松田くんにそう言われた。私の絵の特徴として赤は使われない。赤が嫌いということは多分学校中で知られているのだろう。インタビューで赤を使わない理由を聞かれて赤が嫌いだからと答えたことを思い出した。それで赤を使わないのかと不思議がられたが赤を見ると鮮明に思い出すのだ、祖母の胸に咲いた花の色を。それ以来赤が嫌いになって使わなくなった。誰にも話したことはない、死ぬ人の胸に花が咲くのが見えるのが。あの鮮明に思い出すことができるほどの綺麗な赤は血でしか表現できないほどだった。あの赤を使いたくない、使ってもあの赤ほどの綺麗さではないと思ってしまう。だから私は使うことをやめた。話しかけてくる松田くんの胸には蕾はない。それが当たり前である、当たり前だから安堵してしまう。
「嫌いに理由なんている?」
「いるだろ」
「受け付けないから」
「今考えただろ」
はっきり言えば面倒だな、そんなことを思ってしまう。松田くんは、どうして私などに構うのだろうか。松田くんに目を向けると松田くんはこちらを向いていた。
「多分、あの赤を見てしまったからだと思うよ」
松田くんの暗い海のような瞳を見てそう言葉を出した。あの赤を見てしまった私はあの赤を使いたくても絵の具で表現することは出来ないことを悟ったのだ。多分あの赤は、血でしか表現できない。
「どんな赤なんだよ」
「言わない」
「そうかよ」
松田くんはため息を漏らした。放課後、黄昏時、逢魔ヶ刻。私は松田くんと会話をした。その松田くんは本物とはわからないが、松田くんは私の前で笑った。
「なら、その赤を表現できたら俺のこと、描いてくれよ」
「出来たら、ね」
その口約束をいまだに覚えている私はとんだ阿呆だろう。

 私は高校を卒業して画家になった。今でも赤は使わない、使えない。松田くんを通して萩原くんとも仲良くなった私は萩原くんの胸に蕾があるのを見てしまった。ああ、彼死ぬんだ。そう思ってその胸にある蕾を掴もうとしたら掴めなかった。当たり前なんだろう、私にしか見えないものなんだから。掴めて、それを引きちぎったらどうなるんだろうか。萩原くんは死なないのか。ぼんやりとそれを見ながら私は萩原くんを見た。
「どうかした、赤嫌いな先生?」
「萩原くんが死にそうだなって思って」
「何それ、不吉」
けらけらと笑うのは松田くんだった。警察学校を卒業した彼らと飲みに来た。どうやら色々と大変なようで彼らはたくさんの愚痴を言っていった。かくいう私は人付き合いをあまりせずにただアトリエに籠ってひたすら絵を描き続けた。展示会をさせてもらいながらお金を稼いでいる。そろそろマネージャーでも雇おうかなと思ってしまうほど人付き合いが下手くそになった。それを看破したかのように松田くんと萩原くんから飲みの誘いが来る。この二人ならいいかな、そう思ってしまうのは彼らの人柄だからだろう。ぼんやりとアルコールで鈍った思考を動かしながら目の前にいる萩原くんの胸にある蕾を見る。何時彼は死んでしまうのだろうか。そしたら松田くんはどうなってしまうのか。彼らは仲がいい、私も入り込めないと思う。なんで飲みの誘いなんてくれるのかわからないほど二人で飲めばいいのに。
「先生、もっと飲みなよ」
「アルコール弱いからいいよ」
いつ萩原くんは死んでしまうのだろうか、ぼんやりと萩原くんを見ていたら松田くんは少し不機嫌になってしまった。どうしてだろうか。

 アトリエがあるマンションに爆弾が仕掛けられたらしい。どうしろというのだろうか、荷物は散乱しているし必要最低限の荷物を持って部屋から出ると萩原くんがいた。
「あっ、先生。ここに住んでたの?」
「萩原、くん」
見てしまった、萩原くんの胸に蕾だった花が今にも咲きかけているのを。今日、萩原くんは死んでしまう。顔から血が引く感覚に陥った。どうしたらいい、どうしたら萩原くんは死なずに済むのか。言うしか、ないのか。
「ねえ、萩原くん。私の言うこと、信じてくれる?」
「え、いや、信じるけど」
萩原くんだけにしか聞こえない声量で私は話した。
「萩原くんは今日、死ぬよ」

 萩原くんは生き残った。五体満足で生き残った。萩原くんの胸にあった花はいつの間にかなくなっていた。萩原くんは訝しげに私の言うことを信じてくれた。防護服を着るために地上に降りたら先程までいた階が爆発した。ああ、萩原くんと共に私も死ぬところだったのか。そう思ったら身体から血が引く感覚に陥る。萩原くんは私を驚いた眼で見た。
「先生、千里眼とかあるの?」
「そんなの、あったら嫌になるよ」
下には松田くんがいて、萩原くんの無事を確認していた。萩原くんは松田くんのところに向かって話している。誰にも話したことがないことを話すことはとても怖いことだ、そして、見てしまった。松田くんの胸に蕾があるのを。どうして、なんで。松田くん、死んじゃうの?

 アトリエは必然的に新しい場所になった。萩原くんとも松田くんともあれから会わないようにした。松田くんが死ぬ、どうしたらいいかわからない私は混乱していた。ねえ、松田くんのことになるとどうしてこんなに酷く焦燥しているの。まるで、私が松田くんのことを好きみたい。みたい、みたいじゃなくて好きなんだろう。私は松田くんが好きで、恋い焦がれてこの想いを恋と呼ぶには気持ち悪くて、でも、なんで、どうして、今になって気付くの。描いていた手を止めて松田くんのことを考える。ああ、私はこんなにも松田くんが好きなんだ。いやになる、こんな私なんかに松田くんは好かれるなんて可哀想な人だ。どうか、私の気持ちに気付かないんで。頬に伝った涙は床のフローリングに零れ落ちた。そして私はもう一度筆を取って初めて赤を使う絵を描くことを決意した。

 しばらくしてから萩原くんと会うことになった、あの時どうして萩原くんが死ぬのかわかったのかそれを伝えるため。萩原くんにアトリエに来てもらった。どう話せばいいかわからずただ電気ケトルで沸かしたお湯を使って珈琲を出した。萩原くんは一口飲んでどう話題を切り出せばいいか考えていた。私はマグカップをテーブルに置いた。
「萩原くん、これから話すことは他言無用だから」
「うん」
「私、これから死ぬ人の胸に花があるのが見えるの」
萩原くんはその言葉に目を丸くした。ああ、信じてもらえるのだろうか。震える手を隠すように萩原くんを見る。
「あの日、萩原くんの胸の花は今にも咲きそうだったの。だから」
「そっか、先生、ありがとう」
萩原くんは私の手を握って笑う。どうしてそんな言葉をかけるのか、わからなくて萩原くんを見る。萩原くんは柔らかく笑った。
「先生の言うことを信じるよ、だって俺は先生の言葉で命をすくわれたんだから」
萩原くんは私の言葉を信じてくれた、どうして、なんで、そんな言葉が頭の中でまわる。どうして、なんで。
「先生、このこと誰にも話したことないでしょ。怖かったね」
「なんで、信じてくれるの」
「だって、俺先生がいなきゃ死んでたし」
確かにそうかもしれない、でも。
「先生、嘘ついたことないからね」
萩原くんは、どうしてこんなに優しいのか。

 あれから松田くんとは連絡していない、お互いに連絡をしようとしていないからかもしれないが携帯の画面に松田陣平という名前が出ることはなくなった。萩原くんから聞く話だと連絡しない方が私のためだと言った。絵の具で赤を表現しようとしても何度も納得のいく赤が表現できない、理由はわかっている。わかっているが踏ん切りがつかない。この絵を私は描きたいんだ。この絵を描くために生まれたと言っても過言ではないのに、どうして、なんで。ふらっと夜風に当たるために外に出た。月は明るい、昔国語の先生は授業中にとある文豪はI love you.を月が綺麗ですねと訳したらしい。また違う文豪は私、死んでもいいわ、そう訳したらしい。私なら、どう訳すのだろうか。月を見上げて私は頬に伝う涙を拭った。

 生活用品を買うために外に出た、すると松田くんがいた。声をかけるか悩んだがかけなかった。理由は隣にいるのが女性だったから。松田くんが私に連絡をしなくなった理由がわかった。彼女、出来たんだ。そういうことか。なら、もういいじゃないかな。そう思えると何だか楽になった気がした。そうか、そういうことか。萩原くんはこのことを知っていたから松田くんに連絡しない方がいいと言ったのか。だって私は彼女じゃなくてただの仲のいい同級生だから。多分私の想いは彼には筒抜けだったのだろう。そして、見てしまった。松田くんの胸に今にも咲きかけている蕾の花があった。

 松田くんと連絡しなくなって、四年が経過した。もう私の事なんて忘れただろう。でもほんの少しだけ私のことを覚えていてほしいのは私の傲慢だ。だから今から描くよ、松田くんのことを。

 絵の具で納得のいく赤を生み出せないのならその色を持ったものを使えばいい、そう思って利き手とは違う反対の手を刃物で切ってぺたりぺたりと色を付けていく。ああ、綺麗だな。この色を私は使いたかった、どうあがいてもこの色に魅了されたのは私だったのだ。だから使わなかった、使えなかった。だからこれで最後にしよう。松田くんへの恋も、私の人生も、すべて終わりにしよう。ねえ、松田くん。私は君のことを愛していたよ。最期くらい、愛してると伝えたかったね。私はこの絵を使って君に告白をするんだ。愛している、いや私は君の瞳に溺れているんだ。あの暗い海に溺れたんだ。最期だから許してよ、君が好きだった私のことを。許して、神様。

 アトリエに残るのはなんだろう、私の思念か、それとも私が描いた松田くんの絵か。どちらとも残ってしまえば私の想いは松田くんに届くのかな。朦朧とする意識のなか、暗い海のような瞳の松田くんを描いた。胸には、赤い花を咲かせている。多分ここを発見するのは雇ったマネージャーかな、萩原くんがこの絵を見たら何て言うのかな。私は、松田くんを好きになって、よかったのかな。よかったのかもしれない、だってこんな綺麗な松田くんを描けたのだから。
「すき、だよ、まつ、だ、くん」
朦朧とする意識を私は失った。最期くらい、松田くんのあの綺麗な瞳が見たかった。

 目を覚ます、まるで生きていたかのような感覚だがここはどこなんだろうか。自殺は地獄に落ちると聞いていたがここは、どこなんだろうか。まるで病院のようで、真っ白な天井が見えた。利き手を誰かが握っている、誰だろうか。ぼんやりとする視界の中確認すると、松田くんが私の手を握っていた。なんで、どうして、そんな言葉が頭の中でまわる。松田くんも死んでしまったのか。どうして、ここにいるのだろうか。そんなことを頭で考えていると松田くんが私の名前を呼んで顔をあげた。その瞳はいつものように暗い海のような青さだった。
「まつだ、くん」
「っばかやろう! なんであんな真似をした!」
松田くんの声は部屋に響き渡った。ここはどこであるかわからないがこんなに大きい声を出したら駄目なのではないだろうか。それと頭に響いて頭が痛くなる。そんなことを考えていると松田くんは我に返ってナースコールを押した。松田くんの目尻には涙が浮かんでいて、手は冷たかった。そして、胸には赤い花がなかった。ここは、本当に病院なんだろうか。私は生きているのか。そんなことを考えていると医者が来た。どうやら、私は生き延びたらしい。

 切った腕は包帯が巻かれていた。痕は残るらしい、マネージャーが涙目になりながら私を怒った。あの時アトリエに来て腕を切って倒れている私を見て救急車を呼んだのはマネージャーだったらしい。私が米花中央病院に運ばれて、萩原くんが病院に駆けつけてくれたらしい。丁度その時、松田くんは爆弾が仕掛けられた観覧車のゴンドラに乗っていて、死ぬつもりだったらしい。次の爆弾の場所を爆発する三秒前までわからなかったらしく私が運ばれた米花中央病院に萩原くんが駆けつけた時に爆弾を見つけたとの話だ。だから、松田くんの胸には赤い花がなかった。死なずにすんだ松田くんは私が病院に運ばれたことを聞いてやって来たらしい。松田くんも同じようなことをしたではないか、四年間連絡をしなかったのは誰か。そう言いたかったけれども、連絡をしようとしなかったのは私も同じだったから。松田くんは市民のため死のうとした、私の場合は自己満足のためだったから何も言えなかった。

 入院中、萩原くんが蜜柑を持ってきた。私の前で刃物は禁止になったから。別に死にたいわけではなかったのに、そう思ったが萩原くんはそれを律儀に守っている。蜜柑を半分に割って私に差し出す。私はそれを受け取った。
「ねぇ、先生」
「なにかな」
「先生のマネージャーに聞いたんだけれども、初めて赤を使ったんだって?」
ああ、あの絵か。そう思って利き手だけで蜜柑の皮を指で剥いて果実を取り出す。
「どうして、松田を描いた絵に血を使ったの?」
「松田くんとの口約束だよ」
あの日、あのときも確かに夕暮れで黄昏時、逢魔ヶ刻だったな。萩原くんの顔に夕日が差す。綺麗な顔だな、かつての同級生が放っておかなかったのもわかる。
「納得のできる赤を表現できたら、松田くんを描く約束だったからね」
「つまり、先生は松田のことを思って描いたわけだ」
「そうだね」
「そしたらさ、先生は松田のこと好きなの?」
その言葉に私は曖昧に笑う。
「こんな醜い思いをそんな綺麗な言葉に表現できないよ、それに」
「それに」
「松田くんには彼女がいるじゃないか」
あんな綺麗な彼女、私といるよりいいじゃないか。ノスタルジック、郷愁、私の恋の花は咲かないんだ。
「ねぇ、先生。松田には、彼女いないよ?」
その言葉に私は蜜柑を落とした。

 松田くんに彼女がいなくても、振り向いてもらえる可能性ないんて零に等しい。退院してアトリエに戻って描いた松田くんの絵を見る。血は鮮明な赤ではなくてもう淀んでいた。これでよかったのかもしれない、松田くんの胸の花はなくなった。だから、これで、よかったのかもしれない。この作品をどうしようか考えているとチャイムが鳴った。誰だろうか、ぼんやりとドアのスコープを覗くと松田くんが白い箱を持って立っていた。扉を開いて松田くんを出迎える。
「どうかした、松田くん」
「約束の絵、見に来た」
その言葉に松田くんも覚えていたのか、そう思ってしまう。萩原くんに聞いたのかな、そう思って部屋に招き入れた。アトリエに入って松田くんはあの絵を見た。
「……約束のために手を切ったのか」
「違うよ、これは自己満足のため」
そう、自己満足で松田くんを描いたのだ。決して松田くんのために描いたつもりなどない。人生最大の告白。傲慢故に描いたもの。そんなものだ、この作品は。
「私が、描きたかったから描いたものだよ」
その絵に触る。絵の具は乾いているから指にはつかない。松田くんはどこか嫌になりそうな顔をしている。
「良かったら貰ってよ」
その言葉に松田くんは頷かなかった。当たり前だろうな、そう思って苦笑した。松田くんは絵に触った。
「こんな顔をしてない、俺は」
「写真じゃないからね」
「それでも、俺は」
「ねえ、松田くん。松田くんが好きって言ったら、私は君を困らせるのかな」
松田くんは呆然とした顔をした。ああ、やっぱり私の想いは君を困らせるんだ。そう思って苦笑した。

 白い箱の中身はシュークリームだった。松田くんは、何を思ってこれを買ったのだろうか。責任を感じたのかな、それとも、なんだろうな。利き手でシュークリームを一つ食べる。松田くんはアトリエにいる。あの絵を見ていたいらしい。リビングのソファに座って一人シュークリームを食べる。松田くんに対しての告白の返事はもらっていない。いらないと私が言ったから。もう、後戻りはできないだろうな。会うことも連絡することもやめよう、携帯から松田くんの連絡先を消さなくてはならない。携帯、どこに置いたかな。ぼんやりと頭の思考を動かして考えても思い出せない。松田くんがアトリエから出てきた。何と声をかければいいかわからない私に松田くんは、私を見る。松田くんは私の名前を呼ぶ。
「好きだ、付き合ってくれ」
その言葉に持っていたシュークリームを床のフローリングに落とした。
「責任を感じて付き合うくらいなら、私は付き合わないよ」
松田くんに投げたはずの言葉は多分鋭利な刃物になって私の方へ飛んできて私の心をえぐった。
「違う、そんなんじゃ」
「じゃあなに」
冷静であるはずなのに床に落ちたシュークリームを見て視界が歪んでいく。松田くんの言葉が信じられないのは私の方が悪いのに。どうして松田くんの言葉が信じられないのか。松田くんと視線が絡まる。ああ、なんて酷い顔をしているのだろうか。
「お前が、好きだった」
くしゃりと顔をゆがめて松田くんは苦しそうに私を見る。なんで、松田くんはそんな顔をするのだろうか。なんで、なんで、ねえ、なんで。
「俺のものにしたい、何度そう願ったか。何度お前を想って、苦しくなったか。なぁ、好きなんだ。信じてくれ」
縋るような言葉に私は、私は。
「信じても、いいの?」
「信じてほしい」
ねえ、私は愚かな女だと思う。馬鹿な女だと思う。好きな人に愛の言葉をかけられるだけでこんなにも嬉しくて気持ち悪くて泣きだしそうになるんだから。

 赤い花、それが松田くんを描いた絵に付けられた名前だった。あの作品をもう一度描いて血ではない赤い絵の具を使って再度表現した。松田くんの手に渡らなかった最初の絵はアトリエに飾ることなく燃やされた。それでよかったのかもしれない。あんな醜い身勝手な想いなど松田くんに押し付けたら迷惑だろう。それで、よかったのかもしれない。そう思って松田くんの腕の中で目を閉じた。